2011年12月31日土曜日

「バイオベンチャーの成長への課題」WP#10-03,2010年7月


■ 「バイオベンチャーの成長への課題―資金調達,コア技術,アライアンス,特許制度に  関する調査を中心に―」

本庄裕司・長岡貞男・中村健太・清水由美
    IIRワーキングペーパー WP#10-03,2010年7月
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本稿では、「2009年バイオベンチャー統計調査」(2009年度調査)にもとづいて、日本のバイオベンチャーについて、研究開発のための資金調達、コア技術の変化、アライアンスの現状、これらの企業による特許制度に対する評価を中心に、バイオベンチャーの成長の現状との課題を分析した。2009年度調査で新たに追加した調査項目に関して得られたおもな知見は以下のとおりである。
 (1)各社の単純平均で、研究開発費の68%を自社からの出所としている一方、公的資金や共同研究開発
パートナーによる出所がそれぞれ17%、15%を占めており、企業外部からの資金調達もみられている(ただし、研究開発費を大きく支出している企業では自社の割合がより高い)。
 (2)研究開発において、全体の6割程度の企業が何らかの資金制約に直面している。また、全体の3割の
企業が、資金不足によって、研究開発の計画を大幅に変更、あるいは中止・延期したと回答している。
 (3)コア技術の出所において、大学の占める割合が大きい。また、設立時と同じ技術がそのまま現在のコア技術となっている企業が過半数を占めている。
 (4)アライアンス(ライセンスアウト、共同研究開発および受託研究)では、国内企業へのライセンスアウ
トを実施している企業が全体の2割程度である一方、実績はないがアライアンスを望む企業が4割近くを占める。また、全体の4割の企業が国内企業との共同研究開発を実施し、5割の企業が公的機関・大学との共同研究開発を実施している。アライアンスのパートナーとして、国内企業と公的機関・大学が中心となっている一方、外国企業とのアライアンスへの意志がある企業もみられている。
 (5)特許制度(「進歩性の基準」「発明の記載要件」「審査請求後の審査期間」「特許保護の期間延長制
度」「特許侵害の抑止」および「グレース期間」)に対する評価において、全体の6割以上の企業が,審査請求後の審査期間に時間がかかりすぎていると考えている。また、4割以上の企業が、特許侵害の抑止の強化を望んでいる。